島津くんしっかりしてください
「ようへ―お兄ちゃんにおみせまで案内してもらったらどうかなぁ?」



「え?」



「!」






琴音がいうと、島津くんがぱぁっと瞳を輝かせる。






その表情には琴音への感謝がありありと浮かんでいて。






……なるほど、島津くんはずっとこれが言いたかったのか。






「ことねは待ってるから。ふたりでいってらっしゃい!」






そんな風に笑顔で振られたら、従うしかなくて。






外はいくら夏とはいえ、夜は少し肌寒い。






上着を羽織ってきて正解だったな。






そこでちらりと横を盗み見る。






……寒いのかな。


心なしか顔が赤くて、少し震えているような気がする。






「……島津くん」



「は、……っえ? な、何?」



「寒いの?」



「え……?」






震えているように見えたから、と続けると、島津くんは少しほっとしたように息を吐いた。





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