島津くんしっかりしてください
「いや、大丈夫だよ」



「本当に?」



「ほんとほんと」



「……ならいいや。寒かったら言ってね、上着貸すから」






まぁ、サイズ小さいと思うけど。

そういうと、島津くんは乙女のように頬を染め、一言。






「イケメンだ……」






何言ってんだこの人。






尊敬の色に染まるその瞳から逃げるように、視線を自分に伏せる。






「……ねえ、真見さん」



「んー?」



「どうして、こんなに良くしてくれるの」






投げかけられた質問につい、足を止める。






「……どうしてそんなこと聞くの?」






自分で言うのもなんだが、学校での私は優等生だ。






皆に平等で優しく、笑顔の絶えないユーモアあふれる人気者。






それが学校での私の立ち位置。






そんな私が人に親切にするなんて、当たり前の事。






だからこそ、島津くんの質問には疑問を抱かずにはいられなかった。






「……だって、真見さんは俺の事嫌いでしょ」





「……」







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