島津くんしっかりしてください
……ほんと、調子狂うな。




いつもはうまく隠せていたはずの本音が、頭の中で渦巻いて、溢れそうになる。









……これも全部、島津くんの影響なんだろうな。






あのまっすぐな瞳に私が映るたび、全てが見透かされているかのような錯覚に陥る。






良いところも、……醜いところも全部。






それに強い嫌悪感を感じることがある。






「……ねぇ、こんなところにスーパーなんてあるの?」






後ろを歩く島津くんにそう問いかけてみる。






家を出てからしばらく歩いているけど、ここはまだ住宅街。






家々が連なっていて、スーパーがある気配は微塵も感じられない。








「……」



「?」






返事が聞こえなくて振り返ると、島津くんはぼーっとしたまま立ち尽くしていて。






さっきの問いかけがまるで聞こえていなかったみたいだ。






「……おーい、島津くん。聞こえてます?」



「……っぇ、あ……っ?」






ぱちぱちと数回瞬きを繰り返して、島津くんが私をようやく認識する。





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