島津くんしっかりしてください
「な。何? 真見さんなんか言ってた?」



「うん、本当にそんなところにスーパーなんてあるのかなって」



「あっ、そうだったんだ。ごめんね……俺ぼーっとしてて。ほんと、ごめん」






そう言って作り笑い。






……珍しいな。

島津くんが作り笑いするなんて。






じっと見つめると、島津くんはあははと再び苦笑いを漏らして、地面に視線を落とした。






「で、えーと……うん。あるよ。スーパーって言っても小さいし、近所の人くらいしか行かないんだけどね。激安なんだ」



「へ―……そんなに」






それならこれからはそこに通おうかな。



近いし。






などと考えていると、島津くんの言う通りスーパーが見えてきた。






確かにこじんまりとした佇まいだけど、建物はそれなりに新しいらしく、綺麗だ。






……安い。

キャベツ一玉がこの値段って破格じゃない?






まじまじと値段を見つめる私の横で、島津くんはにこにこと上機嫌のおばさんに挨拶をされていた。






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