島津くんしっかりしてください
「あらあら~陽平くん? 久しぶりねぇ~。お使い? 偉いわ~」



「……は、い。……そうッす」






でた、人見知り島津くん。






さっきまでのにこやかさがまるで消えて、氷の王子様のご登場だ。






熱を感じない絶対零度の視線をものともせず、おばさまはゆったりと微笑む。






「あらあらまあ~隣のかわいい子は彼女さん? やるわねぇ~」



「…………ぇ」



「いえ、違いますよ~。本日から家政婦として働く真見誠といいます」






凍り付いた島津くんの横から顔を出し、軽く頭を下げる。






それと同時にしっかりしろと言いたげに、その腕を引いた。






「あらま、家政婦さん? 若いのに働いて偉いわねぇ~」



「ありがとうございます~。これから会う機会もあるでしょうし、仲良くしてください」



「いえいえ~こちらこそ」






にこにこと愛想のよい笑顔と、少し砕けた口調。






やっぱりこのくらいの年代のおばさまは人懐っこい子が好きみたいだ。






ニコリと笑いかけて、小首をかしげると、上機嫌で去るおばさま。





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