島津くんしっかりしてください
『真見さん! 協力してくれない⁉』





もしかして、あの時お願いしたから……?







「えっと……なんで?」



「……少しでも借りを返したくて」





借り……?



なんだそれ。








「……正直琴音を家に一人残しておくのは、ずっと心配だったの。島津くんのおかげで助かったから……この借りは家政婦として働くだけじゃ足りない」



「借り……なんてそんな」



「島津くんとか、洋子さんがそういうつもりじゃないってことはわかってる。でも、私はこういう考え方しかできないの」






ただ淡々と話す真見さんに、思わず言い淀んだ。









本当に、俺は真見さんに恩を売ったなんてつもりはない。



それは母さんに聞いてみても同じことを言うだろう。






……だけど。






この考えをある程度許容したほうが、真見さんの気持ちが楽になるなら、いいのかな。









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