島津くんしっかりしてください
なんで真見さんを引き留めたんだよ……⁉



俺ぇぇえ……!!






でも引き留めた以上、何か話さないといけない。





必死で考えて、それで思いついた。






「あの、真見さん。もう一個お願い、いい?」



「え? うん」






真見さんが頷くのを確認して、その『お願い』を口にする。






「じゃあ……この家では意識して演じたり、無理したりしないでほしい。琴音ちゃんとか母さんの前では無理でも、せめて俺の前でだけは」




「え……」







目を開いて、小さく漏らす真見さん。






こんな願い事をされるなんて、思っていなかったんだろう。






急ごしらえだったけど、これはどうしようもない俺の本音で。






これから真見さんと暮らすにあたって、必要なことだと、俺は考えていた。






いくら真見さんといえど、何日間もずっと気を張りっぱなしでは疲れてしまうし、そんなことが可能かと聞かれればそんなことはないと思う。






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