島津くんしっかりしてください
「別に意識して切り分けてるわけじゃないから難しいけど、島津くんが望むんだったら仕方ないね。気を付けるよ」






少しかすれた、ふわふわと実態のない声が淡々と言葉を紡ぐ。






「じゃあこれからは……このくらいの時間。お風呂に入った後、島津くんの部屋に言って、相談を受けるってことでいい?」



「え、あ……うん」






半ば呆然としたまま、なんとか頷く。









……やっ……た。



真見さんの仮面にヒビを入れることが出来た。






これで真見さんのことをもっと知ることが出来る……!









なんかこれ……あれだ。






人になつかない野良猫が、少し歩み寄ってくれたみたいな。








そんな幸福感だ。



じわじわと嬉しさがこみ上げてきて、頬が熱を持つ。






そんなことを考えている間に、真見さんはとっくに部屋を去っていて。







でも、そのことに気が付かないほど、俺は浮かれていた。









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