島津くんしっかりしてください
5,勘違いです
パシャリ
水を手の平にためて、顔にかける。
柔らかいタオルでぽんぽんぽんと数回叩くように拭くと、ほっと息を吐いた。
寝起きでも癖一つない黒髪が、朝の時間だけは嫌いではないと思える。
――……この黒髪は、私を縛り付ける鎖。
私は。
私だけが過去を清算して希望を抱くなんてあってはならない。
忘れないように私を絡みつける、呪い。
私は、幸せになってはいけない、忌子だから。
……でも。
『俺は好きだけどな』
『髪ってさ、人によって全然違うでしょ。この髪色も、この艶も、全部真見さんだけのものだし、何より綺麗じゃん』
屈託なく笑う島津くん。
……あんなこと、初めて言われたな
もやもやとした、複雑な気持ち。
こういうの、なんていうのかわからないけど。
水を手の平にためて、顔にかける。
柔らかいタオルでぽんぽんぽんと数回叩くように拭くと、ほっと息を吐いた。
寝起きでも癖一つない黒髪が、朝の時間だけは嫌いではないと思える。
――……この黒髪は、私を縛り付ける鎖。
私は。
私だけが過去を清算して希望を抱くなんてあってはならない。
忘れないように私を絡みつける、呪い。
私は、幸せになってはいけない、忌子だから。
……でも。
『俺は好きだけどな』
『髪ってさ、人によって全然違うでしょ。この髪色も、この艶も、全部真見さんだけのものだし、何より綺麗じゃん』
屈託なく笑う島津くん。
……あんなこと、初めて言われたな
もやもやとした、複雑な気持ち。
こういうの、なんていうのかわからないけど。