島津くんしっかりしてください
『今度どっか遊びに行かない?』






絵文字すらついていないシンプルな文章。






これはいわゆるデートのお誘いという奴だ。






ただ幼馴染を遊びに誘うだけ。






ただこの文章を送るだけ。






それなのに、島津くんはこの有様で。






相談してきたのはどこのどいつだと、呆れを通り越して疑問を抱いてしまう。






「なんでそんなに送りたくないの?」



「え、だって恥ずかしいじゃん! ストレートすぎて! 恥ずかしいからじゃん―!」



「そうなんだ。幼馴染のくせに、ろくに遊びに誘ったりとかしなかったんだ」



「う……っぐぅ」



「予想では、鞠亜さんのお誘い待ちで、受け身な体制が身に沁みついちゃってるってとこかな」




「ぐ、ぐぐぅっ……」






ばっさりというと、島津くんはびくりと肩を揺らし、涙目でこちらを見つめた。






うるうるのその瞳をじっと見つめると、島津くんが睨みつけてくる。






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