クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
「……美都」

「な……に?」


声が震える……私、そんなに奏くんに怯えているの?


「……怯えてるよな」


そう言った奏くんの声は、ひどく優しいものだった。


ぎゅっと、私の手を今度は壊物を扱うように握った奏くんに、なんとも言えない気持ちで胸がいっぱいになった。


……どうして、だろう。

やっぱり奏くんと一緒に、こうして隣にいられることが……怒られているのにも関わらず、心地よかった。


「……ごめんな」

「私こそ、ごめんなさい……」


やっぱり、優しい奏くん、なんだ……。


「……謝るんだな」

「えっ……?」


急に黒いオーラを出した奏くん……。



「じゃあ、もうアイツとは会うな」

「待って……!どうして、そうなるの……?」


おかしいよ、どうしてそうなるのかわからない……!!


「……帰ってから、大切な話がある」

「っ……!!」


そう言われた瞬間、身体がビクッと震えた。


ああ、きっと……婚約破棄されてしまうんだろうなって。

そんなこと、わかり切ったことだった。


なのに……やっぱり、隣にいたい。
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