クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
奏くんのことも……。
「ううっ……だい、すき……」
「もっと大きな声で」
「む、無理です!」
奏くんに、聞こえちゃう……!
「んー。それでは……奏は、美都様のことが好きではないようです」
「えっ……?」
——ズキッ
胸が、痛んだ。
締め付けるような感覚……。
「っ……」
また、涙が……。
「美都様は?」
「奏くんが、好き……です」
「ん……?嫌い?」
「奏くんのことが、大好きです!!はっ……」
つい大声で……。
「み、と……」
次の瞬間、奏くんの声がして……ドアの方を向くと、そこには立ち尽くす奏くんがいた。
「奏、くん……?」
「では俺は失礼します」
「さ、皐月さん……!?」
急に去って行ってしまった皐月さん。
2人きりで……視線が逸れることはなかった。
でも、言葉は交わせなくて。
ど、どうすれば……。