クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
「嫌だ……!離れないでよ……!」


ソファに降ろされそうになって、思わずそう言いながら奏くんの服をぎゅっと握りしめた。


「ふふっ……嬉しいこと言ってくれるね、だけどだめだよ」

「や、やだっ……!」

「すぐに戻ってくるから」

「やだぁ……!!」


ソファにソッと下される。


「奏くんっ……」


身体がなんだか重くて、思うように動けない……。


「坊ちゃま、日向遥希様がお越しです」


使用人さんのそんな声がする。


「大丈夫だ美都。しばらくはドアの前にいる」

「だ、だめ……」

「ごめん、さっきキスした時少し薬盛ったんだ」

「えっ……?」


奏くん、どんどん不機嫌になっていっているような……。


「でも……こんなに嫉妬させた美都が悪いんだからな」


ガチャンッ


閉められたドア。


どうにか力を振り絞って扉の前に行くけれど、扉はびくともしない。


外側から、細工されているようで。


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