クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
校舎に入ってすぐある、空き教室に入った私達。


椅子に降ろされて、奏くんの視線が噛み合う。


「あ、あのっ……」

「ラブレター、もらって俺が大事にしてればよかったんだ」

「そんなわけ、ないよ……?」

「じゃあ、どうすればよかった?」

「っ……わからない……」


あの子のことも考えたら、あれはやりすぎだとは頭の中ではよくわかっているはずなのに。


心がどこか、喜んでいるみたいだった。


「奏くん、私おかしいのっ……」

「ん?どこが」

「あの子は可哀想って思うのに……奏くんが、断ってくれてよかったって、思っちゃうの……」


正直、いつもの奏くんからして、丁寧に断っているところを見ても不安が募るだけだと思った。


「……ああ、いいんだぞ」


ぎゅっと優しく抱きしめられて、ぽんぽんと頭を撫でられる。


奏くんの首筋に顔を埋めて……とても安堵した。

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