クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
美都様……奏のところにいるなら大丈夫か。


あまり気にしないようにしよう。

どうせ叶わないんだから。


***


それから……咲が厄介ごとを起こしているなんて知らずに、放課後、奏と美都様の屋敷に執事として来ていた。


正直……失恋しかけてるのにも関わらず、好きな人といるのは辛いけど、ここまで時給がいいバイトもないしな。


複雑な気持ちを揉み消すように、仕事に取り掛かっていた。


そして……視界に入った美都様。


変に動揺したら色々と心配されそうだし……平常でいこう。


「美都様、何かお困りでしょうか?」


ビクッと肩を震わした美都様。


「美都様……?」


美都様は、俺と目が合っているのに口を開かない。


「っ……」


どうしたのだろうか……。


何か言いたげにしながらも、走っていってしまった美都様。


言いたいけど、言えないことでもあったのだろうか……。
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