クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
「……美都様がどうであれ、これは美都様のお父様からの申し出ですので。」


なにかマウントを取るようにフッと微笑んだ皐月さん。

怒りを帯びたまま、奏くんは私の手をぎゅっと握って、強引に引っ張った。


「い、痛いよっ……!」

「……ごめん美都、じゃあこうする」

「へっ?」


途端に姿勢を変えたと思えば、ひょいっと私のことをお姫様抱っこしてしまった奏くん。


「……美都、体重減った?」

「えっ?そ、そうかな」

「なんか軽くなってる」


そんなに大差ないと思うけど……最近体重測ってないしな……。


「それは嬉しいな……あはは……」

「そうじゃない、もしかしてストレスであまり食事をとってないんじゃないか?」

「す、ストレス……?」


あっ……。

この時、私はしっかりと自覚をしてしまった。


……これは、奏くんに恋をしているからだ、と。

最近やけに食欲がないとは思っていたものの、原因は不明。

だけれど、やっと明確になってしまった……。



< 33 / 243 >

この作品をシェア

pagetop