クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
「お、おい……!先輩に馴れ馴れしくするな———」


ゴンッ!


「コイツは後で処理いたしますので、奏様の元は戻りましょう」

「あ、はい……」


大丈夫かな……?

でも、自分にされたことがやっぱり恐怖で……心の底から心配できているのかと言われれば、絶対に頷けない。


そんなことを考えた、その時だった。


ぎゅっ。


「えっ……?」


途端に右足が、動かなくなって。


告白をしてくれた、後輩にぎゅっと足首を握られていることに気が付いた。


「あ、あの、離し——」


『離して』そう言おうとした時には、もう時すでに遅しだったらしく、ぐいっとそのまま引っ張られてしまったのだ。


「っ……」


やばいっ……お顔から転んじゃう——


そう思って、ぎゅっと目を瞑った時。


ギュウッ。


……っ……。


私は、皐月さんに抱き止めてもらってしまった……。


そして、偶然居合わせたのは——


「っ……み、と……?」

< 44 / 243 >

この作品をシェア

pagetop