クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
他の誰でもない、奏くんの姿だった。


「奏、くん……?」


クールな奏くんが、またしても珍しくこの世の終わりのような顔をしていた。


「なに、やってるんだ」

「こ、これはっ……」

「美都様、立てますか?」

「は、はいっ……ありがとう、ございます……」


皐月さんにお辞儀をして、私は奏くんに駆け寄って行った。


「あのね、奏くん——」


事情を説明しようと思ったのだけれど、肩を掴まれて、奏くんは私の言葉を遮るように口を開く。


「アイツのことが、好きなのか……?」

「えっ……?な、なんでそうなるの!?」

「アイツとハグしてただろ……見たんだぞ」

「それは、誤解でっ……」

「誤解……?あんなガッツリ抱きしめられてて、誤解なわけないだろ」


奏くん、なんだか怖いっ……。


ドクドクと心臓が嫌な音を立て始める。


「美都、来い」

「えっ……?ま、待って……!」


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