クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
ぎゅっと思い切り手首を掴まれて……ものすごく強引に。


私は抵抗することなどできずに、そのまま奏くんにただ引かれて行く。


「あのっ、奏くん……」

「……なんだ」

「私っ……」


奏くんのことが好き、そう言ったら怒りは収まってくれるのかな……?

きっと、皐月さんと不仲のようだったし、そんな皐月さんが、私を抱き止めてくれたから……なにか勘違いして、しまったんだよね……?


小さい頃から、やけに私に近寄る人を嫌悪していたし……なにか、プライドが傷つけられてしまうのだろう。


「っ……」


好き、そう言ったら、少しご機嫌になってくれたら嬉しいななんて……。

だけど、この気持ちを今ここで言っていいのかよくわからない。


「どうした」

「あっ……ごめん、ね……やっぱりなんでも、ない……」


伝えてしまったら楽なのかな……?

だけど、なんだかここで言ってしまったら……私が、奏くんのご機嫌を取りたいから、みたいになっちゃって……本当に好きって、信じてもらえるかな……?

< 46 / 243 >

この作品をシェア

pagetop