クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
不安になる中で、千秋に抱きしめられているところを見てしまった。


もちろん、美都が中等部のヤツに転ばされたことは知っていて、ソイツらは全員まとめて退学処分にした。


だけど……長年、努力を重ねてやっとこれから自分のものにできるとなった女が、別の男に抱きしめられていて、納得できるわけない。


ボディーガードをやるぐらいなら、
美都が倒れる前に周りを処分するぐらいできただろう。


だが……一番許せないのは、自分自身だった。


もう少し早くあの場に駆けつけていれば……。


そんなことを考えても、もうどうにもならない。


今隣にちょこんと座っている愛らしい美都が、どこにも逃げないようにぎゅっと手を握っていた。


「奏くんっ……やっぱり、無理だよ……!!」

「……何が?」


苛立ちが止まらない。

やっぱり、アイツのことが好きなんじゃないか。


< 55 / 243 >

この作品をシェア

pagetop