クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
「だからっ……千秋さんをクビにするなんて……!!」

「……そうか、仕方がない。」


じゃあ、退学にするか。

仕方がない。これは悪い子な美都が悪いんだぞ。


アイツ、千秋は元々金持ちではなかった以前に、貧乏だったらしい。


だが、成績が優秀なだけでこの学園に入ったと噂で聞いた。


……まぁ、退学にしたところで成績優秀ならどうにかなるだろ。


「……やっぱり、言う」

「ん……?いいんだぞ、無理しなくて」


ましてやアイツのためなんて。


美都はぎゅっと自分のスカートを片手で握り、俺の方を向いて口を開く。


「だって……。……ううん、奏くんに手間をかけさせたくないから」


微笑んで見せた美都。


「……そうか」


残念だな、でも、美都自身が言ってくれた方がたしかに早い。


その分時間が浮けば、美都と一緒にいれることに変わりはない。


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