クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
「奏くん……あの、言うから……」

「ん?」


言うから?


ほんのり頬を朱色に染めて美都は言う。


「お父さんに、ちゃんと相談するから……その代わりに、奏くんの好きな人、教えて欲しいなって……」

「っ……」


多分俺の表情は全く変わってない。


なんだろう、心を射抜かれた気がした。


好きな人、教えて欲しい?

それって、まさか美都、俺が好きなんじゃないかなんて期待してしまう。


きっとただの興味なんだろうけど。


……というか、本当に鈍感だな……。


「はぁ……」

「あっ……ごめん、嫌だったよね……!!」

「いや、そうじゃなくて……」


伝える、べきか……?


いや、でも美都に俺のことはお兄ちゃんとして思ってたのになんて言われたら……その時はその時か。


「なんで、知りたいんだ?」

「へっ……?あ……うーん……」


考えてる……可愛い。

本当なんなんだよ、単純にただ気になったからって言えばいいところを……また期待させやがって。



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