クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。
「あ、ははっ……では次、再び花宮様。久宝様のお好きなところを言ってください」
「え、えっと……」
奏くんの、好きなところ……。
全部、全部大好きだ。
小さい頃から見てきた、奏くん全てが好き。
頑張る奏くんも、甘えてくれる奏くんも、ちょっぴり怖い奏くんも……全部、愛おしく
て。
だけど……美波さんとのこともあるだろうし、あんまり私が情をかけない方がいいよね。
「……優しいところが、とっても大好きです。」
いたってシンプルに済ませた答え。
決して嘘ではない。
だけど、虚しい気持ちだけが残った。
その後、美波さん達や他の参加者の人もそれぞれ質問をされた。
だけど、一番シンプルに私答えたはずだったのに……優勝してしまった。
こんな思い出、どこかにぐちゃぐちゃにして捨てて仕舞えば、少しはこの胸のモヤモヤ、消えてくれるのかなって。