全てを失っても幸せと思える、そんな恋をした。 ~全部をかえた絶世の妻は、侯爵から甘やかされる~
侯爵を大好きだった愛人は、望まない相手から行為(好意)を向けられる
ヘイワード侯爵の別邸で暮らしているエリカは、泣きじゃくりながら、料理長を呼び出していた。
妊娠していると分かってから、エリカのお腹はすっかり目立つようになった。
「(ヒクッ)ちょっと、どうしてくれ(ヒクッ)るの! ケビン様を殺したのは、あなたでしょう。(ヒクッ)信じられない、あたし、この後、ケビン様……(ヒクッ)」
エリカは確かに侯爵の事が大好きだった。
沢山の女性に言い寄られてもおかしくない美形の男性が、何故か、酒場で1人寂しそうにしていた。
侯爵へ声をかけたのは、侯爵の事に一目ぼれした自分からだった。
孤独だったエリカ自身も侯爵と過ごす時間は楽しかったし、自分の事を大切にしてくれる彼の優しさに満たされていた。
泣き腫らして真っ赤にした瞼。泣き過ぎて呼吸もヒクついていた。
「どうして……、僕はエリカちゃんが喜んでくれると思って。だって、あの当主、奥さんをこの邸にまた呼んだから、エリカちゃんがかわいそうで」
「何言ってんの! あの女が戻って来ても(ヒクッ)、ケビン様はあたしのことだけ好きなのよ。あたしが勝手に買った宝石の事で少し怒っていたけど、そのお金もあの女に払わせたみたいだし。1回持って行った宝石だって、ちゃんとあたしに返してくれたんだから(ヒクッ)」
「エリカちゃんは分かってないんだよ。あの当主、奥さんとの晩餐を楽しみにしてて、『前に奥さんが美味しそうに食べていたから、カボチャのスープを作れ』とか、『デザートは自分が好きなアップルパイを一緒に食べたいから出せ』って。今まで厨房になんて来たことないくせに、わざわざやってきたんだから」
「何よそれ。でも、あたしの事が一番で、あたしにはケビン様の子どもがいるもん(ヒクッ)」
見た目が可愛いエリカは、男心をくすぐるのが上手かった。
侯爵もベタ惚れになっていたけど、料理長もまた同じ。
可愛い声も、にこやかな表情も、確かに愛らしい。
今からおよそ5か月前の事だった。
日頃、女性に見向きもされない料理長が、エリカの部屋へ呼び出された。料理へ何か文句でもあるのかと思えば、「日中は侯爵が来てくれなくて寂しい」と頼られた。
自分の周りはみんな所帯持ちなのに、自分は未だに女性経験も無かった料理長。
こんな自分を頼って来るエリカを守ってやりたいと、父性愛や兄妹愛のようなものを抱いた。その後に、初めて女性から誘惑された。
彼女が「慰めて」というけど、さっぱり分からなかった。初めて女性の胸に触れて、体中を舐めてみた。
どうしていいか分からないでいると、彼女から「ここに」って、足を広げて強請ってきた。
料理長は戸惑いながら、準備の出来ていたものを彼女へ埋めようとした。
恐る恐る、少しだけ……挿れたのは先だけなのに、信じられない快感だった。
今まで知らなかった快感。戸惑いながらさらに挿れると、鳥肌が立ったと同時に達してしまった。
気づけば、まだ少し挿れた片道の途中、奥まで挿れるなんて出来なかった。
腰さえ振れずに堪え切れずに、終わってしまった。
初めて知った快感をもう一度、しっかりと味わいたいと思った料理長。
エリカからすれば、なんの快感もないまま、料理長の白濁だけが自分の中に入れられた行為。でも、エリカにとっては気持ち悪い、料理長の長い愛撫が終わって、アベリアへ毒を仕込んでくれる事になって、とりあえず、ほくそ笑んでいた。
アベリアへの毒を仕込むために築いた、2人だけの秘密の関係。その日があったから、この邸の関係が崩れる動きが始まった。
これまで女性に相手にされた事も、女性との経験もない料理長は、エリカの誘惑で簡単にエリカに夢中になった。
冴えない料理長から見れば、侯爵の愛人で可愛らしいエリカは高嶺の花だった。
自分からあの快感をもう一度与えて欲しいと願える訳も無かった。
虎視眈々と機会を窺うも、エリカからあれ以降「慰めて」と言ってくれなかった。
料理長は、暇を見てはエリカの部屋を訪ねて、自分が与えた甘いものを嬉しそうに喜んで食べるエリカを見ていた。それはもう可愛かった。
毎日、餌付けしている可愛い娘のような存在。妹のように可愛がっているエリカが、侯爵の子どもを身ごもったと、大喜びしていたのは、エリカが幸せそうだったから良かった。
だけど当の侯爵が、エリカからあの快感を貰ってるくせに、妻の事まで気にしているのが許せなかった。それどころか、妻の妊娠だけを特別扱いして、エリカを蔑ろにしている。
侯爵の気持ちに気づいていないエリカを自由にして、自分のものにしたかった。
「だから、目を覚ましてよ。僕はエリカちゃんを、あの浮気男から解放してあげたんだから」
「なに訳の分かんないことを言ってんの! ケビン様はあたしの事が一番好きなのに」
「知らないだけだよ。エリカちゃんに子どもがいるって分かっても、厨房には何も言って来なかったのに、あの当主、奥さんがもう少ししたら妊娠するだろうから、その時は、食べたいものを色々用意してくれって、言ってきたんだから。そんなの聞かされたら、僕の可愛いエリカちゃんが可哀そうで。エリカちゃんは、当主に騙されていたんだよ」
「騙されてなんかないわ。だって、この子だって、この別邸で育ててって……」
「ねぇ、僕がエリカちゃんの事を自由にしてあげたんだよ。それに、お腹にいるのは、僕の子かもしれない。大丈夫、可愛いエリカちゃんに無理なことはしないから」
エリカの為に、侯爵の事を殺めたのだ。
今の自分は彼女の恩人であるはずだった。
我慢に我慢を重ね、前回は不完全燃焼に終わった、あの行為をもう一度したかった。
――――!
「キャッーー」
料理長に寝台に押し倒されるエリカ。
「っちょっと、何するの。止めて」
嫌がるエリカだけど、体格の大きい料理長はものともせず顔を舐めるまわす。
「この前の続きをしよう。お腹の赤ちゃんも味が分かるらしいよ。これまで間違った味を覚えていたけど、本当の父親のことを教えておかないとね」
料理長は、侯爵家当主の死によって歯止めをかける必要はなくなり、気分は完全にエリカの恋人だった。
「いや、やだやだ、気持ち悪い、止めて。汚い。何言ってんの馬鹿、この子はケビン様の子だから。無理、触らないで、ちょっと、嫌――。ケビン様に毒を盛ったあなたなんて大っ嫌い」
「暴れないでよ。僕が、悪いことしてるみたいでしょう」
嫌がるエリカのワンピースをめくり、下着に手をかける。待ちきれず、直ぐに指を突っ込む。
「痛い」
乾ききったところに、無理やり指を挿れられ、痛がるエリカ。料理長にとっては、恥じらって「痛い」と言っているだけだとニンマリして、めげずに指を挿れて動かし続ける。
なんとなく、ヌルついて来たころには、もう我慢できなかった。
下着を横にずらしただけで、自分のものを無理やり挿入しようとする。
「キャー。お願い。それ、当てないで。やだ、それ以上したら……」
前回は恐る恐る挿入して失敗した。一気にエリカの中へ自分を押し込んだ。
料理長の膨らんだ妄想が実現した瞬間だった。一気に押し寄せた快感に、すぐさま達する料理長。
「ごめん、エリカちゃん、もう出ちゃった。でも大丈夫、ちゃんと奥に出したから味は伝わったんじゃない? それに、この子の父親が誰か、生まれたら分かるはずだし。だって、僕と当主は全然似てないもん。楽しみだな~」
恐る恐るの時より、奥に自分の白濁を流し込んで満足する料理長。
今日のところはこれでよかった。もう、エリカは自分の恋人になんだから。
アベリアを殺して彼女のドレスと宝石を欲しがったエリカ。
アベリアへ毒を盛るのに、料理長を利用した。
何も分かっていない料理長は、ただエリカに好意を寄せ、侯爵の変化を見てその好意を歪ませていた。
その原因を作ったのはエリカ自身だったのに。
「あんたとなんて、1回しかしてないのに、そんなわけない。もーう、こんな事して最低! あんたの事、この邸の執事に言ってやるから。あたしは、この邸の跡継ぎを妊娠してるの。最低なあんたなんて追い出してやるから」
何も分かっていないエリカは、自ら執事の元へ直談判へ向かって行った。
妊娠していると分かってから、エリカのお腹はすっかり目立つようになった。
「(ヒクッ)ちょっと、どうしてくれ(ヒクッ)るの! ケビン様を殺したのは、あなたでしょう。(ヒクッ)信じられない、あたし、この後、ケビン様……(ヒクッ)」
エリカは確かに侯爵の事が大好きだった。
沢山の女性に言い寄られてもおかしくない美形の男性が、何故か、酒場で1人寂しそうにしていた。
侯爵へ声をかけたのは、侯爵の事に一目ぼれした自分からだった。
孤独だったエリカ自身も侯爵と過ごす時間は楽しかったし、自分の事を大切にしてくれる彼の優しさに満たされていた。
泣き腫らして真っ赤にした瞼。泣き過ぎて呼吸もヒクついていた。
「どうして……、僕はエリカちゃんが喜んでくれると思って。だって、あの当主、奥さんをこの邸にまた呼んだから、エリカちゃんがかわいそうで」
「何言ってんの! あの女が戻って来ても(ヒクッ)、ケビン様はあたしのことだけ好きなのよ。あたしが勝手に買った宝石の事で少し怒っていたけど、そのお金もあの女に払わせたみたいだし。1回持って行った宝石だって、ちゃんとあたしに返してくれたんだから(ヒクッ)」
「エリカちゃんは分かってないんだよ。あの当主、奥さんとの晩餐を楽しみにしてて、『前に奥さんが美味しそうに食べていたから、カボチャのスープを作れ』とか、『デザートは自分が好きなアップルパイを一緒に食べたいから出せ』って。今まで厨房になんて来たことないくせに、わざわざやってきたんだから」
「何よそれ。でも、あたしの事が一番で、あたしにはケビン様の子どもがいるもん(ヒクッ)」
見た目が可愛いエリカは、男心をくすぐるのが上手かった。
侯爵もベタ惚れになっていたけど、料理長もまた同じ。
可愛い声も、にこやかな表情も、確かに愛らしい。
今からおよそ5か月前の事だった。
日頃、女性に見向きもされない料理長が、エリカの部屋へ呼び出された。料理へ何か文句でもあるのかと思えば、「日中は侯爵が来てくれなくて寂しい」と頼られた。
自分の周りはみんな所帯持ちなのに、自分は未だに女性経験も無かった料理長。
こんな自分を頼って来るエリカを守ってやりたいと、父性愛や兄妹愛のようなものを抱いた。その後に、初めて女性から誘惑された。
彼女が「慰めて」というけど、さっぱり分からなかった。初めて女性の胸に触れて、体中を舐めてみた。
どうしていいか分からないでいると、彼女から「ここに」って、足を広げて強請ってきた。
料理長は戸惑いながら、準備の出来ていたものを彼女へ埋めようとした。
恐る恐る、少しだけ……挿れたのは先だけなのに、信じられない快感だった。
今まで知らなかった快感。戸惑いながらさらに挿れると、鳥肌が立ったと同時に達してしまった。
気づけば、まだ少し挿れた片道の途中、奥まで挿れるなんて出来なかった。
腰さえ振れずに堪え切れずに、終わってしまった。
初めて知った快感をもう一度、しっかりと味わいたいと思った料理長。
エリカからすれば、なんの快感もないまま、料理長の白濁だけが自分の中に入れられた行為。でも、エリカにとっては気持ち悪い、料理長の長い愛撫が終わって、アベリアへ毒を仕込んでくれる事になって、とりあえず、ほくそ笑んでいた。
アベリアへの毒を仕込むために築いた、2人だけの秘密の関係。その日があったから、この邸の関係が崩れる動きが始まった。
これまで女性に相手にされた事も、女性との経験もない料理長は、エリカの誘惑で簡単にエリカに夢中になった。
冴えない料理長から見れば、侯爵の愛人で可愛らしいエリカは高嶺の花だった。
自分からあの快感をもう一度与えて欲しいと願える訳も無かった。
虎視眈々と機会を窺うも、エリカからあれ以降「慰めて」と言ってくれなかった。
料理長は、暇を見てはエリカの部屋を訪ねて、自分が与えた甘いものを嬉しそうに喜んで食べるエリカを見ていた。それはもう可愛かった。
毎日、餌付けしている可愛い娘のような存在。妹のように可愛がっているエリカが、侯爵の子どもを身ごもったと、大喜びしていたのは、エリカが幸せそうだったから良かった。
だけど当の侯爵が、エリカからあの快感を貰ってるくせに、妻の事まで気にしているのが許せなかった。それどころか、妻の妊娠だけを特別扱いして、エリカを蔑ろにしている。
侯爵の気持ちに気づいていないエリカを自由にして、自分のものにしたかった。
「だから、目を覚ましてよ。僕はエリカちゃんを、あの浮気男から解放してあげたんだから」
「なに訳の分かんないことを言ってんの! ケビン様はあたしの事が一番好きなのに」
「知らないだけだよ。エリカちゃんに子どもがいるって分かっても、厨房には何も言って来なかったのに、あの当主、奥さんがもう少ししたら妊娠するだろうから、その時は、食べたいものを色々用意してくれって、言ってきたんだから。そんなの聞かされたら、僕の可愛いエリカちゃんが可哀そうで。エリカちゃんは、当主に騙されていたんだよ」
「騙されてなんかないわ。だって、この子だって、この別邸で育ててって……」
「ねぇ、僕がエリカちゃんの事を自由にしてあげたんだよ。それに、お腹にいるのは、僕の子かもしれない。大丈夫、可愛いエリカちゃんに無理なことはしないから」
エリカの為に、侯爵の事を殺めたのだ。
今の自分は彼女の恩人であるはずだった。
我慢に我慢を重ね、前回は不完全燃焼に終わった、あの行為をもう一度したかった。
――――!
「キャッーー」
料理長に寝台に押し倒されるエリカ。
「っちょっと、何するの。止めて」
嫌がるエリカだけど、体格の大きい料理長はものともせず顔を舐めるまわす。
「この前の続きをしよう。お腹の赤ちゃんも味が分かるらしいよ。これまで間違った味を覚えていたけど、本当の父親のことを教えておかないとね」
料理長は、侯爵家当主の死によって歯止めをかける必要はなくなり、気分は完全にエリカの恋人だった。
「いや、やだやだ、気持ち悪い、止めて。汚い。何言ってんの馬鹿、この子はケビン様の子だから。無理、触らないで、ちょっと、嫌――。ケビン様に毒を盛ったあなたなんて大っ嫌い」
「暴れないでよ。僕が、悪いことしてるみたいでしょう」
嫌がるエリカのワンピースをめくり、下着に手をかける。待ちきれず、直ぐに指を突っ込む。
「痛い」
乾ききったところに、無理やり指を挿れられ、痛がるエリカ。料理長にとっては、恥じらって「痛い」と言っているだけだとニンマリして、めげずに指を挿れて動かし続ける。
なんとなく、ヌルついて来たころには、もう我慢できなかった。
下着を横にずらしただけで、自分のものを無理やり挿入しようとする。
「キャー。お願い。それ、当てないで。やだ、それ以上したら……」
前回は恐る恐る挿入して失敗した。一気にエリカの中へ自分を押し込んだ。
料理長の膨らんだ妄想が実現した瞬間だった。一気に押し寄せた快感に、すぐさま達する料理長。
「ごめん、エリカちゃん、もう出ちゃった。でも大丈夫、ちゃんと奥に出したから味は伝わったんじゃない? それに、この子の父親が誰か、生まれたら分かるはずだし。だって、僕と当主は全然似てないもん。楽しみだな~」
恐る恐るの時より、奥に自分の白濁を流し込んで満足する料理長。
今日のところはこれでよかった。もう、エリカは自分の恋人になんだから。
アベリアを殺して彼女のドレスと宝石を欲しがったエリカ。
アベリアへ毒を盛るのに、料理長を利用した。
何も分かっていない料理長は、ただエリカに好意を寄せ、侯爵の変化を見てその好意を歪ませていた。
その原因を作ったのはエリカ自身だったのに。
「あんたとなんて、1回しかしてないのに、そんなわけない。もーう、こんな事して最低! あんたの事、この邸の執事に言ってやるから。あたしは、この邸の跡継ぎを妊娠してるの。最低なあんたなんて追い出してやるから」
何も分かっていないエリカは、自ら執事の元へ直談判へ向かって行った。