私の彼氏はクラスで一番、
「……ごめん、いじめ過ぎた」
「え……?」
どう答えるのが正解か、茹だった脳でほとほと困り果てていると、静かな声が落とされる。
「遠回しに言って察してもらおうなんて、ダサかったわ。ごめん」
そう謝った彼が、握っていた私の手を離し、そして。
「山本七葉さん」
突然その場に立ち上がり、やけに畏まって私の名前を呼んだ。
「は、はい!」
反射的に返事をしてしまうと、彼はそんな私に少し笑い、頭を下げ、右手を差し出す。
「好きです。……俺と、付き合ってください」
決して叫ぶような、大きな声ではない。
だけど教室内に響くしっかりと澄んだ声は、聞こえませんでした、なんて言い逃れを許さないくらい、断固とした響きを持っていた。
ぽかん、と口を開けた間抜けな顔を晒したまま、私は固まってしまう。
ここで、それって私のこと? なんて聞き返すほど無神経では無かった。でも、どうしても信じられなくて。
「な、なんで……」