私の彼氏はクラスで一番、
「いや、その、昨日の……」
なんて説明しようか。迷って、でもそれだけで阿久津くんは思い至ったらしい。「あー……」とどこか歯切れ悪く呟いた阿久津くんが、やがて気まずそうに項垂れる。
「ごめん。怒ってない」
「えっ」
「優しすぎるし面倒見良すぎ、とは思ったけど。俺に怒る権利ないし、まあ、相手は怪我人だし……」
後半はほとんどボソボソ呟くような声で言って、それでも少し拗ねた瞳で私を見る。
きゅん、とか、しちゃいけない。
うっかりときめいてしまう心臓を必死で宥める私にぴったりくっつくように、阿久津くんが隣に座る。
そのまま、こてりと肩に頭を預けてきたものだから、頑張って落ち着かせた心臓がまた跳ねてしまった。
「つっても普通に妬けるから、次見かけたら割り込んでやろうってずっと思ってた」
セピア色の瞳が挑戦的に煌めく。きっと赤くなっているであろう頬に視線が突き刺さって、やがて満足そうな吐息が聞こえてきた。