私の彼氏はクラスで一番、


「でも山本は、分かってたんだ?」

「え?」

「俺が妬くかもって。だから怒ってるかどうか、訊いてきたんでしょ」


じゃなきゃそんな質問出ないもんね。そう言った声がちょっとだけ冷ややかで、どきりとする。


「わ、分かってたというか、ちょっとアドバイスをいただきまして……」

「へえ」

「私……」


怒るとか怒らないとか、妬くとか妬かないとか。


まだあんまり、よく分かってないけど。


「阿久津くんのことを、大事にしたい」


嫌な思いはして欲しくないし、させたくないから。

私の行動ひとつで阿久津くんのことを大切にできるなら、そうしたいなって思うから。


阿久津くんは私の言葉に目を丸くすると、隣から抱きつくように私を抱きしめる。


「ひゃっ」


ぽすんと阿久津くんのセーターに鼻の頭が埋もれて、咄嗟に身体を離すよりも早く、阿久津くんは私の後頭部を抱き込むように力を強めた。


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