私の彼氏はクラスで一番、
つい難しい顔で黙り込んでしまううちに、私の消し残しまでさっさと消し終わった鈴原くんは、手に着いたチョークの粉を払いながらニカッと笑った。
「じゃ、また昼休みに声かけるな! あ、なんなら飯も一緒に食う?」
「えっ。ご、ごめんね、お昼は里香ちゃんと約束してて……」
「そっか、残念。いつもどこで食べてるの?」
「食堂とか中庭とか……その日の気分、かな?」
「いいね」
目を細めて微笑った鈴原くんが、ほんのすこし、腰を屈めて。
「俺もいつか一緒に食べたいな」
至近距離で差し出された真っ直ぐな誘いに、なんと答えれば良いのか分からなかった。
里香ちゃんの視線が痛い。
もぐもぐと大人しくお弁当を食べ続ける私に、凛とした、けれどどこか呆れの色を含んだ眼差しがビシバシ突き刺さって来る。
「七葉」
「はい」
「いい加減、自覚した?」
「……はい」
こくり。頷いて、私は箸を置いた。