私の彼氏はクラスで一番、


里香ちゃんの言葉に、逸らした視線をまたそっと輪の中心に戻す。


痛むことなく綺麗に色の抜けた金糸のような髪。

描いたような凛々しい平行眉に、美しい二重が刻まれた切れ長の瞳はいつも涼やかで、激情に燃えることは無い。


薄い唇はあまりその口角を引き上げることなく、引き結ばれているのが常──と、思っていた。少し前までは。


「意外と……そうでも、ないよ」


どちらかと言えば寡黙な方で、でも、喋ってみると話しやすくて、優しくて、周りをよく見てる。


そんな彼だから、きっと皆も、彼を好きになって、彼と仲良くなりたくて、彼の元に集まっていく。


まるで彼は恒星のようだった。

私たちは、彼の持つ不思議な引力に引き寄せられる、星々。


彼はいつでも、その真ん中で静かに佇んでいる。


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