私の彼氏はクラスで一番、


委員会で出された課題があり、どうせなら今日のうちにやってしまおうと、二人で教室に戻ってきたのだ。


でも……。


「あの、別の日でも……大丈夫だよ?」


こんな、誰も居ない教室で二人きりじゃ彼も気まずいだろう。そう考えての言葉だったけれど、彼は私をちらりと見ると、何も言わずに前の席の椅子を引いてそこに座った。

椅子の背もたれを前にして跨ぐように座った彼は、私の机に肘を突く。それから、こちらをじいっと見つめてきた。勿論その間も無言で。


夕陽を反射して煌めく眼差しに見つめられ続けるとそれ以上何も言えなくて、私も恐る恐る自分の席に座る。そうすると、ふたり、私の机を挟んで向かい合う形になった。

彼の様子を窺いながらも手に持っていたクリアファイルを机に置く。すぐに長い指先がプリントを数枚抜き、シャープペンシル片手にプリントと向き合い始めた彼を見て、なんだか少し嬉しくなる。


私と二人きりでも気にしないって思ってくれたのかな? なんて……。


< 2 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop