私の彼氏はクラスで一番、
野良猫が少し懐いてくれた気分……そんなこと、絶対本人には言えないけど。
しばらくは、窓の隙間から聞こえてくる外の音をBGMに、ぽつりぽつりと他愛もない話をしていた。当然、話題を提供するのは私で、彼は時々相打ちを打つだけ。
それでも、面倒そうな顔ひとつせず、視線を合わせたり、頷いてくれたりするから、居心地の悪さは全く感じなくて。
とはいえ、元々ものすごく喋るタイプではない私と、私よりもっと落ち着いていて寡黙なイメージの強い彼。
遠い存在だなあ、なんて思っていた男の子と二人きりという状況も相まって、やがて会話は途絶えてしまった。緊張にバクバクと逸る心臓の音が、耳奥で大きく、鈍く響いている。
黒鉛が紙を滑る音や、時折それをめくる音。
そんな静かな作業音がやがてその場を満たしていき、何か、何か場を繋げる話題を……! と、私が苦悩していた時。
「山本って、彼氏とかいるの」
あまりにも唐突に落とされた言葉に、すぐには反応出来なかった。
「……へっ!?」