私の彼氏はクラスで一番、
「阿久津くん……?」
恐る恐る呼ぶと、阿久津くんはそのまましゃがみ込んだ。後ろは、振り向けなかった。
「このまま、抱きしめてもいいっすか」
ぼそ、と耳元で囁かれる。吹きかかる吐息が擽ったくて肩が跳ねてしまった。
「うう……」
「はは、唸ってる」
阿久津くんは、いつでもこうやって私の意思確認をしてくれる。
そういうところも優しいなあと思うのだけど、この時ばかりはもう訊かずに抱きしめて欲しかった……って、何を考えてるの私は!
突然抱き締められたりしたら、それはそれで絶対パニックになるくせに、改めて確認されると恥ずかしさでどうにかなってしまいそう、なんてただのワガママだ。
「お、お手柔らかに……お願い、します」
やっとの思いでそれだけ絞り出すと、すぐにお腹の辺りに腕が回ってくる。左右には阿久津くんの長い脚が放り出されて、私の体は阿久津くんの脚の間にすっぽりと収まってしまった。