私の彼氏はクラスで一番、


「阿久津くん!」


そこに、花壇を覗き込む阿久津くんの姿を見つけたから。


「来てくれたんだ……!」


思わず口元を緩めながら近づくと、形の良い眉根がきゅっと寄せられる。


「そりゃ来るでしょ。当番なんだから」

「あっ……そ、そうだよね!」


実は、来ないかも……なんて思ってました。とは言えない雰囲気だ。

授業が終わってすぐにお友達に誘われているのが聞こえてきていたから、もしかしたらそっちに行っちゃうかなあ、とちょっとだけ思っていたのだ。


「来ないと思ってたんだ?」


そんな私の心を見透かしたようにもの言いたげな視線を送られてぎくりと身を竦める。


「いっ、いやあ、そのお……」

「……」

「お友達に誘われてたから……その、ね……?」


へらり。誤魔化すように笑い、阿久津くんに背を向ける。


「そうだ、じょうろ! じょうろ持ってくるね!」


そのままわざとらしく声を上げて歩き出すと、すぐに長い脚が隣に並んだ。


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