私の彼氏はクラスで一番、
顔を上げると、阿久津くんの視線は手元に注がれたままで。しかしその表情が、どことなく硬いような気がして首を傾げた。
「もうすぐ、期末テストじゃん」
「そうだね」
「……テストが落ち着いたら、したいことがあるんだけど」
「したいこと?」
そこでようやく、阿久津くんが指先の土を払い、こちらを見る。
「……デート、しよ」
「でっ」
デート!
馴染みのない単語に、心の中で叫んでしまう。
思わずあんぐりと口を開けてしまった私に、阿久津くんはムッと唇を引き結んだ。
「そんな驚く?」
「あっ、ご、ごめんね。したことないから、びっくりしちゃって」
咄嗟の言い訳も思いつかず素直に白状すれば、阿久津くんは目を丸くした。
そして、長い睫毛が頬に影を作るように伏せられる。
「いや、俺だって初めてだし」
「え!?」
今度はもっと大きな声で驚いてしまった。
「さっきから驚きすぎ」
「ご、ごめんなさい。でも阿久津くん、かっこいいから……」