私の彼氏はクラスで一番、
「意味、分かって無いだろ」
「えっと……ハイ」
今度は、すぐに頷く。
そもそも、彼から話しかけられているこの状況も、問われた言葉も、何もかもが予想がすぎて未だに混乱しているのだ。
交わす会話も、半分くらいは脳を通らずに右から左へと抜けている。
えっと、どうしてこんな話になったんだっけ……。
ううん、とこんがらがった思考の糸をどうにか解こうと頭を悩ませていると、不意に、彼の指先が私の右手をつついた。
話しかけられるばかりか、触れられたことに心臓が飛び出そうなほど驚いた私は「ほわ!?」と奇声を上げ、握っていたペンを取り落してしまう。
けれど、跳ね上がった手はそのまま大きな彼の温もりに包まれて、そっと包み込むように握られてしまった。
ひとつの机を挟んで、見つめ合いながら片手を握り合う。傍から見たら、何してるの? って突っ込まれること間違いなしのへんてこな二人だ。