私の彼氏はクラスで一番、
うん、と頷いた阿久津くんが、私の横髪を耳に掛けるように頬のあたりを撫でていく。
「図書館に誰かいて邪魔されるのも嫌だし、それに俺、近くに山本が居たらこうやってちょっかいかけたくなっちゃうと思うけど……いい?」
「と、図書館で!?」
「うん」
「だ、駄目です……」
そんなの、図書館に知っている人が居なかったとしたって恥ずかしすぎる。
ブンブン首を振ると、阿久津くんはニヤリと笑った。
「じゃ、決まり。時間とかは、また後で連絡するから」
そう言って、阿久津くんはまた歩き出す。
自分で誘った手前何も言えなくて、でもこれはもしかしなくてもとんでもないことになったのでは? と冷や汗をかきながら、どこかご機嫌な阿久津くんの背中を追いかけたのだった。