私の彼氏はクラスで一番、


「ううん! それなら、これ、後で渡しておいてもらえるかな?」


そんなに謝ることないのに、と内心で首を傾げつつ、持っていた紙袋を渡すと、阿久津くんはどこか安堵した顔で頷いた。


「わかった。ありがと」


じゃあ、こっち。と、また阿久津くんが階段へ足を向け、後ろをついていく。


2階に上がり、突き当りの部屋に私を通すと、阿久津くんは荷物を置いてそのまま部屋から出た。


「俺、飲み物取ってくるから適当に座ってて。お茶でいい?」

「あ、うん! ありがとう」


パタン、と扉が閉まり、ぽつんと取り残される。

男の子の部屋に入るなんて初めてのことで、ドキドキしてしまう。


あまり物が無く、綺麗に片付いた部屋だ。カーテンやベッドなどの家具は深い青で統一されていて、部屋の中央に丸いテーブルと、クッションがふたつ。


ここに座っていいのかな? と恐る恐るテーブルに着いたところで、扉が開き、阿久津くんが戻ってきた。

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