私の彼氏はクラスで一番、


「山本がくれたやつ、山本も一緒に食べよ」

「わ、ありがとう!」


トレイには、氷たっぷりのグラスに、何種類ものお菓子が盛られたお皿。


私も二人で食べる用のお菓子持ってくればよかったなあ、と思いつつ目を輝かせていると、阿久津くんの口許が緩んだ。


「好きなだけ食べていいよ」


ハッとして視線を上げると、頬杖をつきながらやけに甘い眼差しを向けられている。

途端、恥ずかしくなって私は膝に視線を落とした。


「ご、ごめん、甘いものとしょっぱいものに目が無くて……」

「それ、全部じゃない?」


楽しそうに笑われて、ますます縮こまる。


「と、とりあえず勉強しよう!」


トートバッグから勉強道具一式を取り出し、誤魔化すように掲げてみせると、「はいはい」とおざなりな返事で返された。

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