私の彼氏はクラスで一番、


やっぱり誰か居てくれた方が捗るな。よかった、今日、誘ってもらえて。


そう思いながら、カチ、とキャップ部分をノックする。


「……?」


カチカチ、カチ。

何度かノックしてみても芯が出てこなくて、ああ、切れちゃったのか、とノートから目を離して手を止めた。


随分と集中していたみたいで、さすがに肩と目が凝ったなあと顔を上げて、ぎょっとする。


阿久津くんが、じいっとこちらを見ていたから。


「あの……?」

「すごい集中してたね」

「ず、ずっと見て……?」

「いや、ちゃんと勉強してたよ」


ほら、と阿久津くんが指差す方を見ると、なるほど確かに、ワークがびっしり埋まっている。


「ただ、休憩がてらちょっと眺めてただけ」


それは、休憩になるのだろうか……。

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