私の彼氏はクラスで一番、
窓を見ると、空が薄紫色のグラデーションを織り成していた。
本当に、かなり長い間集中してたんだなと驚いていると、阿久津くんが空になったグラスを手に立ち上がる。
「注ぎ足してくるから、山本は少し休んでて」
「あ、ごめんね、ありがとう……」
微笑んで、頷いてくれた阿久津くんを見送ってから、ふうと息をつく。
気が緩んだからか、なんだか眠気まで襲ってきて、抗うように目をしぱしぱと瞬いていると、戻ってきた阿久津くんが小さく笑った。
「眠いの?」
「少しだけ……」
夏だから日が長いとはいえ、もう夜と言っても差し支えない時間だ。
阿久津くんが大丈夫そうなら、そろそろお暇しようかなあ。そう考えていると、「山本」と柔らかい声で名を呼ばれた。
見ると、ベッドフレームに凭れ掛かった阿久津くんが、ポンポン、と彼の隣を叩いている。
「え、っと……」
「来て」
ポン。先ほどよりも強く、床が叩かれた。
そうされると拒む理由も無くて、おずおずと彼の隣に座る。半人分、距離を開けて座ってみたのだけど、すぐに腕を回されて、肩を抱きこむように引き寄せられてしまった。
「あああ阿久津くん!」
「少し寝る? 起こしてあげるから」