私の彼氏はクラスで一番、
バクバクと競い合うように速いお互いの鼓動と、あまりの密着度にフリーズしていると、阿久津くんが私の背中を片手で支えるようにし、もう一方の手で私の顔を撫でた。
じ、と直向きな眼差しを注がれる。チリチリとこちらの肌を焦がすような視線に、鎖で絡め取られたみたいに身動きが取れなくなってしまう。
名前を呼ぶことすら躊躇われるような時間。
息を呑むことしかできない私に、阿久津くんがふとその双眸を柔らかく緩めて──
その微笑みに見惚れていると、目を伏せた阿久津くんの綺麗な顔がすっと近づいてきていた。
「……っ、」
間近でも、毛穴ひとつ見つけられない陶器肌。
鼻先が触れそうな、お互いの唇に吐息がかかってしまいそうな、そんな距離に本当は飛び退いてしまいたかった。
だけど……。
私も、そっと目を閉じる。
身体が震えてしまうのは止められず、それでも、彼を受け止めようとするこの想いがどうか伝わればいいとそう願って。
「……ごめん」