私の彼氏はクラスで一番、
そして、くい、と指を引っ掛けられたかと思うと、ぐいぐいと決して強くは無い力で引かれ、誘導されるようにビニールバッグを肩から下ろしてしまった。
「え、と、私は元気で……あれ?」
そのまま阿久津くんが私のバッグを持っていこうとするので、持ち手の部分をたよりなく握りしめながら首を傾げると、「嫌?」と阿久津くんも首を傾げる。
甘くねだるような表情に、思わずパッと手を離す。阿久津くんはにこりと笑って、私のバッグを肩に掛けた。
「俺は、ちょっと元気なかったかも」
「えっ!」
「山本に全然会えなかったから」
「そ……」
そうなんだ。と言うのは違う気がして口を閉じる。
ストレートな言葉に、こちらが照れてしまった。
「山本は、寂しくなかった?」
まるで、俺は寂しかったよ、と囁くように。
覗き込むように問いかけられて、頬の熱がグングン上がっていく。
「ち、ちょっとだけ」
なのに、やっとのことで絞り出せたのは、自分でもなんて可愛くないんだろうとため息をついてしまうような返答で。
寂しかった、いつデートに誘われるかな? ってソワソワしてた、って、素直に言えばいいじゃん、と頭の中の冷静な私が怒っている。
でも阿久津くんは、そんな私を気にした様子もなく。