私の彼氏はクラスで一番、
「ちょっと、ね」
そう笑うと、ごく自然な流れで私の手を握った。
「!?」
勿論、急な接触に耐性のない私は目を剥く勢いで驚いた。
そうしている内に、指と指の間に彼の長い指が絡みついてきて、心臓が太鼓を叩き始める。
「会えなかった分、充電」
真っ赤な顔で間抜けに口を開けたままの私にそう言って、恋人繋ぎのまま、阿久津くんは私の手を引いた。
電車に乗っている間も、乗り換えする時も、繋いだ手は離されなかった。
阿久津くんは、とても人の目を引く。
相変わらず綺麗なレモン色の髪も、高い背も、小さな顔も。
だから、乗り合わせた女の子や、すれ違う女の子から数え切れないほどの視線を感じた。
時には、「かっこいい……」なんてうっとりとした声まで聞こえてきて、私はその度にうんうん分かるかっこいいよね! と心の中で同意したのだけど……。
同時に、そんな素敵な男の子の隣に立っていることが、なんだか申し訳ない気持ちになったりもして。
でも、私がちょっとでも手を引くと、きゅ、と指先に力を込められ、余計に密着してしまう。
「ん?」
それで、なんにも気づいてないふりをして、そうやって首を傾げるのだ。
きっと、私が恥ずかしがっていることになんか気づいているに決まってるのに。