私の彼氏はクラスで一番、
やっぱり無理だ! 自分でやってもらおう!!
羞恥心のキャパに限界が来て、唇を噛み締めながら顔を上げた、その時。
「やっぱ、自分でやる」
「え、」
ぱ、と手の中から日焼け止めが消えたかと思うと、阿久津くんが、まだ塗っていない部分に男の子らしい雑さで叩き込んでいった。
そのまま脚にもパパッとぬり、そのあまりの早業かつ大胆さに、ああ、せっかく丁寧に塗ってたのに……と、ちょっと悲しくなる。
でも良かった。あのままだとドキドキしすぎて失神していただろうから。
どうして阿久津くんが急に自分でやることにしたのかは、分からなかったけど。
「阿久津くん、顔とか首も……」
日焼け止めを返してこようとした阿久津くんにそう言って手を伸ばすと、阿久津くんがひょいと避ける。
「分かった、ありがと」
そうお礼を言われたけど、まさかそんなあからさまに避けられるとは思っていなくて、私は手を伸ばしたまま固まっていた。
静かにショックを受ける私に気づいた阿久津くんは、ばつの悪い顔をして、私の手を取る。その上に、きっちりキャップを閉めた日焼け止めを乗せた。
「違うから。山本が嫌で避けたんじゃないから」
「でも……」
「ホントに。ただ、我慢できなくなりそうだっただけ」
「我慢……?」