私の彼氏はクラスで一番、


「で、話を戻すけど。当然、俺は好きな人と付き合いたいわけですよ」

「そ、そうですね」

「でも、いざ告白して、相手に恋人が居たら嫌じゃん? さすがに略奪の趣味は無いし。まあ、だとしても、隙があれば攻めるつもりではいたけど」

「確かに……」


私も、好きな人ができて、でもその人にはもう恋人が居るってなったらきっと諦めると思う。告白する前にそれが分かってたら、絶対告白なんかしない。


うんうんと頷くと「だから」と薄い唇が力強く続きを紡いだ。


「今、確認したら「いない」って言うから。これはもう、チャンスかな、と」

「うん。……うん?」


今?


なんとなく言い回しに引っ掛かりを覚えて首を傾げると、こちらを真っ直ぐに射抜く視線とかち合う。


「いないんでしょ」


念を押され、たじろいだ。


何かしらの言葉で応えようとして、だけどなんて言えばいいのかわからなくて、舌が縺れる。


じわじわと、やっと落ち着いてきていた熱がぶり返すようだった。


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