私の彼氏はクラスで一番、


ふたり手を合わせて、もぐもぐと頬張る。

思っていたよりもお腹が空いていたみたいで、おいしー! とルンルンで食べていると、こちらに送られる視線に気が付いた。

顔を上げると、阿久津くんの優しい眼差しが降り注ぐ。

ゴクリ。喉を鳴らしながら口の中のものを飲み込んで、私は首を傾げた。


「な、なにかついてる?」


そんなにじっと見られると恥ずかしいな……。

青のりとかついてたらどうしよう。一応口の端を拭ってみると、阿久津くんは笑って目を細めた。


「なんも。食べてる姿かわいいなと思って」

「かわ……!?」


あ、阿久津くんはいっつも突然爆弾を落としてくるんだもんなあ……。

どうしてそんなセリフを、顔色ひとつ変えずに言えるんだろう。

恥ずかしくなって、ついつい一口も小さくなってしまった。


「阿久津くんも食べなよ……」

「食べる食べる」


そう言うけど、阿久津くんは頬杖をつきながら変わらずこっちを見つめるばかりで……。

折角屋根の下にいるのに、まるで太陽に灼かれているみたいに、ずっと身体中が熱かった。

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