私の彼氏はクラスで一番、


阿久津くんの指先が、ゆっくりファスナーを下ろしていく。

じ……。
じじ……。

その、じわじわと迫り来るような感覚に耐えられず、水着が見えるか見えないかくらいのところで、とうとう私は叫んだ。


「あ、阿久津くん!」

「ん?」

「自分で下げます!」


宣言すると阿久津くんの手が緩んだので、その隙にジャッ、と一息で下ろす。

そのまま脱ぐか迷って、羽織ったままにした。

そして。


「……」

「……」

「な、何か言って欲しい……な」


どうしてずっと無言なんだろう……まさか、似合わなかった!?

そんなに奇抜なデザインを選んだわけでもない。どちらかといえばシンプルな、花柄の水着だ。

少しのフリルと中心には大きめのリボン。下はお腹周りまでしっかりカバーしてくれるスカートタイプの水着だった。

密かにお腹に力を込めてお肉を誤魔化していると、すい、と阿久津くんが横に来る。

そして、浮き輪の上に腕枕を作ると、こてんと自分の顔を預けて、私を見上げた。


「ごめん、なんかもう胸がいっぱいで」


セピア色の瞳の中に、真っ赤な顔をした私が映っている。

目元を赤らめた阿久津くんは、無垢で可愛らしい笑みを咲かせた。


「よく似合ってる。すっげえ可愛い」

「〜っ……!」


真っ直ぐすぎる褒め言葉に、ぎゅーーーっと胸が締め付けられる。

苦しいくらいに幸せで、嬉しくて、恥ずかしくて。


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