私の彼氏はクラスで一番、
席は離れちゃったけど、そもそもクラス内ではほとんど話してなかったし、近くてもドキドキしちゃってどうすればいいのか分からなくなりそうだし、良かったのかな。
席替えして数日、私の中では勝手にそうやって納得していたのだけど……。
「あ、阿久津くん?」
「……」
これまた新しい学期が始まって最初の、二人のお昼時間。
なんだか阿久津くんの様子がおかしい。
なんというかどことなく不機嫌で……拗ねてる、ような?
「怒って、る?」
隣で静かにサンドイッチを頬張る阿久津くんに恐る恐る訊ねると、桜色の唇が、む、と引き結ばれた。
怒ってる! これは絶対!
あわわ、と戸惑っていると、阿久津くんがドスッ! と勢いよく寄りかかってくる。ちょっと痛かった。
「……山本って、薄情だよな」
「え!?」
「俺はこんなに悲しんでるのに」
ぐりぐり、と肩の辺りに頭を擦り付けて来る阿久津くん。さらさらと髪が揺れる度、シャンプーか何かのいい匂いがして、ドキドキしてしまう。
「えっと、」
「まあ、山本は毎日楽しそうだもんな。峯岸が後ろで」
「里香ちゃん?」
……なるほど!
やっと阿久津くんが言わんとしてることが分かって、脳内の豆電球が光る。