私の彼氏はクラスで一番、
阿久津くんがあんまりにもかっこいいから。
未だに慣れなくて、耐性のない私は緊張してしまうの。
「……そう来るか」
暫くの沈黙ののち、落ちてきたのはなんというか、不満そうな、苦々しそうな、少なくとも喜んでいる声では無かった。
それが、思っていた反応ともかけ離れていたから思わず目を開くと、じとりとした視線が、ほんのりと困ったような表情を浮かべて、私を見つめている。
「まあ、及第点ってとこ」
「きゅうだ……?」
よ、よく分からないけど、合格はしたらしい。でも納得はしてないって顔だ。
その煮え切らない表情にこちらも首を傾げていると、はあ、とため息を吐いた阿久津くんが、今度は全体重を乗せる勢いで寄りかかってくる。
ぐぐぐぐ〜っと横から押されて、わあ、と声を上げながら倒れてしまわないよう、床に手を突いて踏ん張った。
「阿久津く……」
「山本はさあ」
ぷるぷると震えながら名前を呼ぼうとすると、遮られる。
阿久津くんは、不貞腐れたように唇を尖らせていた。
「好みの顔がそばに居たら、誰にでもドキドキするんだ」
「え」
「だって、そういうことでしょ」