秘書はあらがえない気持ちを抱いて
そして、17時。終業時間の1時間前。

「終わったー!」

「まだ、1時間あるな。それじゃあ次の書類を…」

「おい待て!今日の分の仕事が終わったら帰って良いんだろ!?」

「俺は、"今日の分の仕事が終わるまで帰れないからな"とは言ったが、終業時間前に帰っても良いとは一言も言ってない。」

「お前、俺を騙したな!」

「騙してない。進一郎が勝手に勘違いしただけだ。」

「この鬼ー!」

「なんとでも言え。さっさと次の書類に取りかかれ。」

結局、進一郎は俺の言う通り終業時間まで仕事をした。

「疲れたー」

伸びをして体の凝りを解す進一郎の前に、いつも通りお茶と菓子をそっと差し出す。

「お疲れ。一度家に戻るんだろ?」

「ああ、シャワー浴びたいからな。」

シャワー…
今日も朝帰りになるのだろう。
そして、俺は今日も朝帰りの進一郎を迎えに行くのだろう。


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